デジタル遺品の整理帳

暗号資産・電子マネー・ポイントの相続はどうなるか

内容の確認日: 2026年11月3日

故人が持っていた暗号資産は、相続税の対象になります。取引の活発な暗号資産は、相続人が取引している交換業者の価格で評価します。使うのは亡くなった日の取引価格だと、国税庁のFAQは示しています。電子マネーやコード決済の残高も、事業者の手続きで相続人が受け取れる場合があります。

ポイントやマイルの扱いは、会社ごとの規約で決まります。ANAのマイルのように相続の手続きがあるものもあれば、ドコモのdポイントのように回線の解約で失効するものもあります。この記事は一般的な情報で、個別の判断は税理士・弁護士・司法書士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月3日に確認しました。

暗号資産も相続税の対象になる

国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月)は、暗号資産を相続や遺贈で受け取った場合に相続税がかかると明記しています。相続税法では、お金に見積もることのできる経済的な価値のある財産が課税の対象になります。暗号資産もこれに当たる、という説明です。

相続税の申告が必要な場合の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。国税庁のタックスアンサーでは、たとえば1月6日に亡くなった場合は、その年の11月6日が期限になると例を挙げています。期限までに申告しなかったり、少なく申告したりすると、加算税や延滞税がかかる場合があります。

暗号資産は、郵便で明細が届かないこともあり、家族が見落としやすい財産です。交換業者のアプリやメールを手がかりに、早めに探し始めると申告の準備に間に合わせやすくなります。

税務署の建物
写真: Miyuki Meinaka / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

暗号資産の評価のしかた

財産評価基本通達には、暗号資産の評価方法の定めがありません。そのため国税庁のFAQは、外国の通貨に準じた考え方で評価するとしています。要点は次のとおりです。

  • 取引の活発な市場がある暗号資産は、相続人が取引している交換業者が公表する、亡くなった日(課税時期)の取引価格で評価します
  • 交換業者が出す残高証明書に書かれた取引価格も、この「公表する取引価格」に含まれます
  • 販売所で買う価格と売る価格が別々に出ている場合は、売る価格で評価してかまいません
  • 相続人が複数の交換業者で取引している場合は、相続人が選んだ業者の価格で評価してかまいません
  • 活発な市場がない暗号資産は、内容や取引の実態を見て個別に評価します。売買の実例や詳しい人の意見を参考にする方法が挙げられています

評価の基準になるのは、亡くなった日の価格です。暗号資産は値動きが大きいので、どの業者の価格を使うかや、売るか持ち続けるかは、税理士などに相談しながら決めると安心です。

ビットコインの記念硬貨
写真: AntanaCoins / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

交換業者での手続き(bitFlyerの例)

手続きは交換業者ごとに違います。ここでは、bitFlyerの公式サイトに載っている流れを例として紹介します。

  1. 法定相続人が問い合わせフォームで「相続手続きについて」を選んで連絡する。故人の氏名・生年月日・住所・亡くなった日などを書きます
  2. bitFlyerから、必要書類の案内と所定の書式がメールで届く
  3. 書類を返送する。代表相続人は、自分のbitFlyerアカウントを作り、本人確認を済ませておきます
  4. 故人のアカウントから代表相続人のアカウントへ資産が移される。暗号資産は日本円に換えずに、そのまま移されます
  5. 故人のアカウントが閉じられ、メールで知らせが届く

必要書類の例として、3か月以内に発行された法定相続情報一覧図と、相続人全員の印鑑証明書(発行後6か月以内)が挙がっています。問い合わせただけでは口座は止まらず、確認が済んでから取引と入出金が止まる、とも書かれています。

相続税の申告に使う残高証明書は、この手続きには含まれません。必要なら手続きのときにメールで申し出ます。発行の手数料はかからず、切手を貼った返信用封筒を送るよう案内されています。電話での照会は受け付けていません。

パソコンにつながれた暗号資産用のハードウェアウォレット
写真: FlippyFlink / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

電子マネー・コード決済の残高

コード決済の残高も、相続の手続きで受け取れる場合があります。PayPayの公式ヘルプでは、亡くなった人のアカウントや残高を確認し、相続できる残高があれば手続きができるとしています。流れは次のとおりです。

  1. ヘルプページ下部のフォームから問い合わせる
  2. 案内に沿って、確認用の書類を画像で出す(死亡が分かる戸籍謄本・除籍謄本など、相続関係が分かる戸籍、故人がPayPayに使っていた電話番号の契約書や明細、申請する人の本人確認書類)
  3. 相続できる残高と、相続に必要な書類がメールで案内される
  4. 相続人全員の戸籍謄本・抄本や印鑑登録証明書、PayPay所定の誓約書などの原本を郵送する
  5. 相続人名義の銀行口座に入金される

故人のアカウントを相続人に引き継ぐことはできません。残高を相続人のPayPayアカウントに移すこともできません。完了までの目安は、最初の問い合わせから1か月半から2か月ほどとされています。

国民生活センターの資料にも、コード決済の相続手続きに1か月以上かかった相談が載っています。戸籍謄本や住民票などを郵送でやり取りしたという内容です。急いでいる場合は、早めに問い合わせておくと安心です。

店頭のキャッシュレス決済端末
写真: RuinDig/Yuki Uchida / CC BY 4.0(Wikimedia Commons)

手続きの数が多いと、書類集めだけでも負担になります。まとめて専門家に頼む方法もあります。

ポイントとマイルの扱い

ポイントやマイルを相続できるかどうかは、会社ごとの規約で決まります。公的な一律のルールはありません。

ANAの公式サイトでは、会員が亡くなったとき、マイル口座に残る有効なマイルを法定相続人が引き継げるとしています。条件は次のとおりです。

  • 受付は亡くなった日から180日以内で、その期間内に必要書類がすべてそろっている申請に限られます
  • 退会届とマイル相続申請書、チェックリストに、書類のコピー2点を添えて郵送します
  • 代理申請は受け付けていません。マイルを分けて相続することもできません
  • マイルが失効したあとは申請できません

反対に、相続できないまま消えるポイントもあります。ドコモの公式サイトでは、契約者が亡くなって回線を解約すると、dポイントは失効すると案内しています。解約や退会の前に、残っているポイントを確かめておくと、取りこぼしを減らせます。

ネット銀行や証券口座の探し方は故人のネット銀行・ネット証券の見つけ方で、サブスクの止め方は故人のサブスクの解約で扱っています。

空港を走行する旅客機
写真: 4300streetcar / CC BY 4.0(Wikimedia Commons)

出典

いずれも2026年11月3日に確認しました。

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